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しさくの広場2024 春 作品No.49_ねここども

春の微熱

生暖かい風や輝く同級生にあてられ頭がくらくらする。新しい匂いの教室で、鳥の声ばかりに気にする私は幽霊の女の子。

発達障害で新しい環境が苦手なので、毎年不安で押しつぶされそうな気持ちを抱えていました。新しい教室の匂いや、新品の制服の匂いなどをよく覚えています。同級生やクラスの様子よりも、窓から見える緑や鳥が気になり私だけ知らない世界にいるようでした。いまでもそのような感覚におちいることもあります。

 

わたしだけのれない

なまあたたかい匂い
あざやかな駅のホーム
知らない電車 知らない音
桜の呪いはわたしだけ

電車や駅を使う人々がみなばらばらの目的地に向かっていく中、私は目的地が分からないたどり着かない。
新入生や新入社員の活気にあふれた表情が眩しくて、私だけ迷子のような感覚がありました。

 

秘密

ピクニック
1人音読する教科書
秘密の時間
甘い、甘い、甘い
時間が止まった桜の栞
寄り添いあい、愛

国語の教科書を先読みするタイプで、物語に入っているときは優しい気持ちになれます。
桜の花びらがちょうど挟まって、栞にして大切にページを開いていました。

 

ねここども