2025.10.9_公開
10月8日は12時45分に梅村さんと待ち合わせをしていました.
私が病院の駐車場に着いて少し時間が経ってから,
梅村さんの車が駐車場に入ってくるのが見えたので,
私は車から降りて,梅村さんの車の方に歩いて行きました.
梅村さんの車の助手席には,
初めて会う方が乗っていました.
すぐに降りてきてくださったその方と挨拶をして,
私たちは3人で病院の入り口に向かいました.
歩きながら,
「1年半だよ」
と梅村さんが言いました.
一緒に外出したいという話を太樹さんとしてから,
1年半が経ったそうです.
そんな外出の日に同行できたことを,私は誇らしく思いました.
私たち3人は外来受付の席の近くで少し時間をつぶして,
太樹さんの入院している病棟に向かいました.
その病棟の入り口には,
「これより先には入らないでください」
と大きな字で掲示がしてあります.
以前に1回来た時にも気になったその表示が貼られた自動ドアをくぐって,
私たちは太樹さんのいる階に向かいました.
入り口で,福祉車両の会社の方と会いました.
その方のお名前を聞き忘れてしまったので,「シロクマさん」と呼ばせてください.
シロクマさんは,梅村さんとは顔見知りのようでした.
「よろしくお願いします」と,
短い言葉とそれ以外の目線や表情で挨拶をしている姿から,
これまで何度もこの場所から一緒にお出かけをしている仲間であることが伝わってきました.
病院のスタッフが声をかけてくれました.
「太樹さんですね,今急いで準備しているので少々お待ちください」
4人になった私たちはロビーのような場所で,少し時間をつぶしました.
そこには空いている椅子が2つしかなかったので,
梅村さんが「年長だから」と言って一脚に座りましたが,
もう一脚には誰も座りませんでした.
私たちの通ってきたエレベーターの近くに,
太樹さんと同じ階に入院している方がやってきました.
そこに待っていたのは,同じような服装で同じような立ち姿の二人でした.
一人は履き込んだスニーカーとスウェットパンツ,少し柄の入った半袖のパーカーを着ていました.
もう一人は,少し赤みがかった茶色い髪の色をしていました.
私がふと横を見ると,
その3人が話し始める姿を見て,梅村さんがニコニコしていました.
シロクマさんも少し笑って,「初めてですね」と言いました.
梅村さんは「いいねぇ」と言いました.
入院している方がお出かけをするために初めてヘルパーさんと出会う場面.
この場面の「良さ」を,梅村さんとシロクマさんは言葉にせずに共有しているようでした.
まだ太樹さんが出てきません.
続きます.
2025.10.9
みらいつくり研究所
まついかい