「グリーフを抱える人の当事者研究」Season5-3
開催報告
(前回までの当事者研究開催報告につきましてはこちらをご覧ください)
『亡くなる前後に関わっていた人たちに係わること』
当事者研究者から提案されたテーマでしたが、そこはかとなく予期緊張感(? そんな言葉はないかもしれません)の漂う回です。
否が応でも、亡くなったその時を思い出すことになりますから。
、、この緊張感には覚えがあります。
Season3-5 それぞれの「フラッシュバック」について探究したときも、事前の緊張感が強くありました。
※その時の内容が気になる方はこちらをご確認ください
冒頭から共有されたエピソードに、画面越しでも胸が締め付けられるような思いをしている方々の顔が見えます。
亡くなった時の状況から、やむなく検視を受ける必要があった。
現実とは思えない状況のなかで、わが子が裸で冷たいブルーシートに包まれている情景を目の当たりにする。
「はだかじゃさむいよ、、、おそろいのパジャマは?」
あどけない妹の言葉に、検視官の方は涙を流しながら、大切に預かっていること、後で返すことを心をこめて伝えてくれた。
子どもの人生を肯定し、父母へのこれまでのねぎらいの言葉も掛けてくれた。
仕事としてやむを得なくしなければならない中でも人として寄り添ってくれたことへの感謝。
最初から、重たかったかな?
重たいかと言われると重たいかもしれません。
でも、それを背負っている人が目の前にいます。
・「重たいから、誰か一緒に背負ってくれないかな」
・「重たいけど、これはわたしの必要な荷物です」
・「重たいから、一度荷物を下して再選別しようかと思います」
「重たい」話をきいた人も、さまざまな反応をします。
A:「重たいので私はそれを受け止めかねる」
B:「重たいけれどわたしもその一旦を担いたい」
C:「私にあなたの重荷は担えないけれども、あなたがその荷のかたちや重さを確かめるところに立ち会ってもいいですか」
『グリーフを抱える人の当事者研究』はCのスタンスですね。
・・・さて、その後に続いたのは、幼子を泣く泣くケアした納棺師さん、葬儀の司会者さん、お葬式の後毎年はがきをくれる宮司さんに関するエピソードです。
あれ?
そういえば、一番想定していた対象者が挙がっていません。
医療者です。
在宅医療、外来、救急の別なく。
そうですよね、人の死に接するのはなにも医療者だけではありません。
直接的に/間接的に人の死に触れる仕事、そして人の死に接した人に携わる職はこんなにも、
いえ、もっとたくさんあります。
職として携わる際に、どのような訓練をうけているのだろうか?
今更ながらその質問に気付かされました。
クリーフを抱える人と共に、歩くためのヒントを一緒に考えられる人たちがもっといるのではないか。
そんな思いも湧いてきました。
・・・ここから話を振ると、もちろん大切な方が亡くなった前後の医療者との関わりについてもみなさんエピソードを共有してくれました。
家族の最期の瞬間にどうしても間に合えなかったけれども、到着を待って診断書を書いてくれたお医者さん。
障害のある子が生まれた時に誕生を祝ってくれた助産師さん、、etc..
過去にご家族の一員を亡くし、今はご自身が医療職として関わっている方もいます。
支援者として携わるときに感じたことを言葉にしてくれました。
「大切な家族の一員を無くした家族が訪ねてくれる時に」
・・なんだか強くなったように見えるんです。
そのきっかけはなんだったのだろう?
家族の支えあいのかたちのこと、
逆に支えあえなかったときのこと。
次回はそんなことを深めて行きたいと思います。
『グリーフと共に歩む家族の物語』
2025年11月6日(木)10:30~12:00の予定です。
ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。
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『グリーフを抱える人の当事者研究』目的
①「身近な方との死別によるグリーフ」について、同じような体験をした仲間と集い、語り、聴き、共感し、語り直す機会とすること。
② それらを通じて感情や考えの整理をし、新たな意味づけをすること。
③「グリーフを抱える人」と共に生きるためのヒントを提供すること。
『グリーフを抱える人の当事者研究』実施テーマ一覧
Season1(2018年 5回)
第1回「喪失後の体調変化について」
第2回「宗教とグリーフの関係について」
第3回「社会的役割とグリーフについて」
第4回「グリーフと共に生きる。
グリーフと共に生きる人と生きる。」
第5回「これまでの振り返り」
Season2(2020年 1回)
第1回「最近の様子」
Season3(2021年 5回)
第1回「写真展に『会いに行く』」2021年4月22日(木)10:00-11:30
第2回「亡くなった方との関係性の変化」2021年5月27日(木)10:00-11:30
第3回「あの人を想い出させる〇〇」2021年7月30日(金)10:00-11:30
第4回「フラッシュバックの状況報告」2021年7月30日(金)10:00-11:30
第5回「グリーフを伝えること」2021年10月1日(金)10:00-11:30
Season4(2023年7月~2024年8月)
第1回「研究の研究の研究」2023年7月21日(金)10:30-12:00
第2回「死を告げるということ」2023年9月20日(火)10:30-12:00
第3回「何故死を語ることはかくも難しいのか」2023年11月15日(水)10:00-11:30
第4回「Allan Kellehear講演会の振り返り」2024年1月24日(水)10:00~11:30
第5回「コンパッションに満ちた場づくりの計画」2024年3月13日(水)10:00~11:30
「コンパッションに満ちた場作りの企画MTG」
①2024年4月24日(水)12:00~13:00
②2024年5月29日(水)12:00~13:00
③2024年7月03日(水)10:00~11:00
④2024年8月14日(水)10:00~11:00
「旅の途中のお食事会」2024年8月31日(土)10:00~13:30
Season5(2025年5月~現在進行中)
第1回「『もの』どうしてる?」2025年5月15日(木)10:00-11:30
第2回 ”グリーフ当事者”としてのふるまい方 2025年7月10日(木)10:00-11:30
第3回 「亡くなる前後に関わっていた人たちに係わること」 2025年9月4日(木)10:00-11:30
第4回 『グリーフと共に歩む家族の物語』 2025年11月6日(木)10:30~12:00
【グリーフを抱える人の当事者研究についてのお問い合わせ・お申し込み】
医療法人稲生会 目黒
011-685-2799
meguro-yu@kjnet.onmicrosoft.com